糖尿病とは?
糖尿病とは、インスリンというホルモンが不足したり、うまく働かないことで、血液中のブドウ糖(血糖)が多くなっている状態が続く病気です。
この状態が続くと、細い血管や大きな血管が障害されて、眼、腎臓、神経、動脈硬化などの合併症を引き起こし、失明、透析、心筋梗塞、脳梗塞などとなります。
合併症を予防するためには、血糖値を下げることが必要です。そのために食事療法·運動療法·薬物療法を行います。
糖尿病の症状は?
通常ほとんど症状はありません。合併症を引き起こすまで高血糖状態が続くと以下のような症状が出ます。
高血糖に伴う症状
- のどの渇き(口渇)
- 水分の摂取量が増える(多飲)
- 尿の回数が増える(頻尿)
- 尿の量が増える(多尿)
- 体重の減少
- 空腹感
- 疲れやすくなる
- だるさ(倦怠感)
合併症に伴う症状
- 目のかすみ
- 足のしびれ
糖尿病の原因は?
1型糖尿病
1型糖尿病は、膵臓のβ細胞が破壊され、インスリンがほとんど分泌されなくなる状態です。子どもや若い人に多くみられますがどの年齢でも発症します。1型糖尿病の治療はインスリン療法が必須となります。
2型糖尿病
2型糖尿病は、遺伝的な体質に加え、食べ過ぎや運動不足、肥満など環境が重なっておこります。血糖に対してインスリンが十分ではなかったり(インスリン分泌不全)、インスリンが十分出ていてもその働きが悪くなる(インスリン抵抗性)場合があります。
中高年に多く発症しますが、最近では若い方も多くなっています。日本人の約95%は2型糖尿病です。
その他
- 妊娠糖尿病
- 膵臓がんなどの膵臓の病気や、膵臓を摘出し場合
- 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)やクッシング症候群などの内分泌疾患
- 肝硬変などの肝臓の病気等
- 薬剤性の糖尿病
糖尿病になるとどうなるの? ~糖尿病の合併症~
高血糖状態が長く続くと、糖尿病に特有のさまざまな病気(糖尿病合併症)を引き起こします。糖尿病の合併症の中で代表的な病気は、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害の3つで、これらは「三大合併症」と呼ばれています。そのほかにも、心臓や脳の血管などの動脈硬化症があります。
微小血管症障害(3大合併症)
- 糖尿病網膜症
- 糖尿病腎症
- 糖尿病神経障害
大血管障害
- 狭心症·心筋梗塞
- 脳梗塞
- 末梢動脈疾患(PAD)/閉塞性動脈硬化症(ASO)
その他
- 糖尿病ケトアシドーシス
- 高浸透圧高血糖症候群
- 歯周病
- 感染症
糖尿病の検査は?
血糖値と過去1-2ヶ月の血糖値の変動を反映したHbA1cの組み合わせで診断します。
血糖値
早朝空腹時血糖
早朝空腹時の血糖値が126mg/dL以上で「糖尿病型」と診断します。
随時血糖
特に時間を決めないで採血したものです。200mg/dL以上で「糖尿病型」と診断します。
75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)
精密検査として、ブドウ糖75gを飲んで時間ごとに採血して血糖値やインスリン濃度の変化を調べます。正常型、境涯型糖尿病、糖尿病型を診断し、またインスリン分泌能からインスリン抵抗性を評価します。(現在当院では行っておりません)
平均血糖値をみる検査
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)
検査前1-2ヶ月間の平均血糖が反映されます。HbA1c6.0-6.4%で糖尿病の可能性が否定できないとされ、6.5%以上で糖尿病が強く疑われるとされます。
その他
- インスリン
- C-ペプチド(CPR)
- 尿蛋白
糖尿病の治療は?
食事療法
食事療法は糖尿病の治療で基本となる最も重要なものです。適正なエネルギー量の食事をとること、またバランスよく食事をとることが大切です。
運動療法
運動療法も糖尿病の治療で基本となる重要な治療です。運動によりカロリーを消費するだけでなく、インスリンの働きが改善し血糖が改善します。
薬物療法
薬物療法には注射と飲み薬(経口血糖降下薬)があります。1型糖尿病ではインスリン注射が必要です。2型糖尿病はその病態や合併症に応じて経口血糖降下薬やインスリン·GLP-1作動薬などの注射を行います。
注射
- インスリン
- GLP-1作動薬
経口血糖降下薬
- ビグアナイド
- チアゾリジン
- DPP-4阻害薬
- スルホニル尿素薬
- 即効型インスリン分泌阻害薬
- αグルコシダーゼ阻害薬
- SGLT2阻害薬
- GLP-1作動薬