当院は肝臓専門医が在籍しています。
東京都の肝臓専門医療機関に指定されています。
健康診断や人間ドッグで、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、LD(LDH)、ALPなど肝逸脱酵素の異常を指摘されることがあります。
AST・ALTとは?
AST・ALTは肝臓の細胞に存在する酵素です。ASTは心臓や赤血球にも含まれますが、ALTは主に肝臓に存在するため最も重要です。何らかの原因で肝細胞が壊れると、血液中に漏れ出てALTが高くなります。これを肝臓に炎症があると表現することもあります。
お酒で有名なγ-GTPは胆管で作られる酵素です。アルコール以外でも薬や脂肪肝などで上昇します。
症状はほとんどありません
肝臓は1kg以上もある臓器で、大きな予備能力を持ちます。そのため病気で働きが悪くなっても症状が現れにくく、沈黙の臓器といわれます。肝機能障害があっても自分で気付くことはなく、健康診断などで偶然指摘される方が多いです。
肝機能障害の原因
肝臓障害の原因として、肝炎ウイルスが最も重要でしたが、最近はメタボリックシンドロームを背景とした非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)が増えています。
ウイルス性肝炎
B型肝炎、C型肝炎が重要ですが、血液検査でほぼ確実に検査できます。急性肝炎ではA型肝炎やE型肝炎、EBウイルス、サイトメガロウイルスなども調べます。
自己免疫による肝疾患
自己免疫性肝炎(AIH)や原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)が知られています。
脂肪性肝疾患(MASLD/MASH)
肥満や糖尿病による非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)が増えており、1000万人以上いると推定されています。そのうち10%が肝硬変に進展する可能性が高い非アルコール性脂肪肝炎(NASH)です。
最近NAFLDやNASHに含まれる「alcoholic(飲んだくれ)」や「fatty(太っちょ)」という用語が不適切とみなされるようになり、2023年にMASLD/MASHという用語に整理されました。
薬剤性肝疾患
医療機関で処方される内服薬だけでなく、市販薬や漢方薬でも起こります。サプリメントによる薬剤性肝障害も知られています。
甲状腺疾患
バセドウ病や亜急性甲状腺炎などの甲状腺機能亢進症や、橋本病などの甲状腺機能低下症が原因となることがあります。
その他
原発性肝癌、転移性肝癌、胆道癌、膵癌、閉塞性黄疸、胆管炎、肝膿瘍、ウイルソン病、ヘモクロマトーシス、心不全などがあります。採血時の影響で溶血してASTやLDが高値となり肝機能障害とされることもあります。
肝機能障害の検査
基本は血液検査を行います。ウイルス性肝炎の抗原・抗体や自己免疫性肝疾患の抗体、生活習慣病に関する検査を行います。
あわせて超音波診断装置による検査(腹部エコー検査)を行って、肝臓の中に腫瘍がないか、脂肪はたまってないか、胆石が原因になっていないかなどを確認します。
当院の超音波診断装置はCanon製 Aplio meを採用し、高性能・高画質な画像検査を行うだけではなく、肝臓の線維化・硬さ(SWE)や脂肪化の程度(ATI)を数値化して、脂肪肝や肝炎・肝硬変の経過を経時的に比較しています。
更にCT/MRIなどの精密検査が必要な場合は画像検査センターや昭和大学江東豊洲病院/聖路加国際病院/東京医科歯科大学など高次医療機関と連携して精査をすすめます。
東京都肝臓専門医療機関
当院院長は肝臓専門医であり、当院は東京都指定の肝臓専門医療機関です。肝炎患者の診断や治療方針の決定を行い、B型肝炎・C型肝炎などの医療費助成申請に必要な診断書の作成も可能です。